再発したらこうしてほしい(本人)


「こころの元気+」2011年2月号特集4より   ※「こころの元気+」の特集とは→コチラ
再発したら、まわりの人にこうしてほしい

シンセサイズ中部代表
江上幸


病状の落ち着いた期間が長く続いている人でも、ふとした「キッカケ」から驚くほど急激に病状が悪くなってしまうことがあります。
その「キッカケ」は、人それぞれです。そしてまた、再発したときに望むことも人それぞれです。

自分が望んだことをやってもらう

私の場合は、再発したら、
「無理をしないで休みなさい」と言ってもらうことが一番よいと思っています。
それはなぜかといえば、体調が悪くても、人に何か頼まれたりするとことわれない、という気質があるからです。
誰かに、「休みなさい」と言われないと、私はどうしても無理をしてしまうタイプなのです。しかし、これが他の人だと変わってきます。
Aさんにたずねたところ、
「命令されるのはイヤですね。自分が望んだことを、そのままやってもらえたほうがいいです」
という返答でした。
Aさんは統合失調症で、自分で再発に気づき、あまりにも調子が悪いので「病院に付き添ってほしい」、「○○病院に行きたい」など、家族に要望したそうです。
家族は、そんなAさんの要望をすべて聞き入れ、その通りにしてくれたそうです。
そのときに「ああしなさい」、「こうしなさい」と命令されていたら、きっと自分の回復は遅れていたのではないか?とAさんは語っていました。

強引に病院へ

Bさんにたずねたところ、
「その当時自分は再発なんてしてないから、医者にはいかない!″と、体調を崩していることを心配した家族に反発していました。けれどもそのとき、強引に病院に連れて行ってくれたことで、早く快方に向かうことができたと思います。だからそのときはイヤだったけれども、今となっては感謝しています」
という返答でした。
Bさんは、うつ病でしばらく病院に通っていたのですが、回復したということで勝手に通院をやめてしまい、再発してしまったそうです。
そのときにBさんは、
「病院になんて二度とかからない!」
と思っていたようですが、心配した家族が、少々強引にでも病院に連れて行ってくれたおかげで、回復が早くなったんじゃないか? とのことでした。

ともかく早く病院へ

AさんとBさんでは、まったく「逆」のことを家族がしたわけですが、やはり大切なのは、「早く病院に行って適切な処置を受ける」ことだと思います。
二人の話で共通する部分は、「再発したらすぐ病院にかかった」というところです。
自分から、もしくは家族のすすめで、という違いはありますが、基本的なところは変わっていません。
また、二人とも、
「再発して家で休養しているとき、周囲(近所など)の目が気になって仕方なかったです」
と言っていました。
表立って何か言われるわけではありませんが、「働いていておかしくない年齢なのに、どうしてあの人はずっと家にいるんだろうか?」、「ずっと家にこもっているなんて …」という、いわば「差別」や「偏見」が少なからずあり、それがたいへん苦痛だったようです。
Bさんはそれに耐え切れず、朝早くに行くあてもなく家を出て、夕方まで時間をつぶして帰宅する ― ―ということをしたことがあるそうです。

再発した場合には、家族のサポートももちろん必要です。でもつけ加えて、家族以外の周囲の「温かい目」も必要なのだ、と痛感しました。
特に一人暮らしなどで家族と離れている、もしくは家族がいない、という人にとっては、周囲の人々のサポートが重要になってくると思います。