家族による訪問活動(家族)


こころの元気+ 2012年12月号特集より


特集5
家族による訪問活動

仲間としてできることを
さいたま市もくせい家族会
佐藤美樹子


2011年4月から、私たちは「もくせいお茶飲み隊」という家族による訪問活動を始めました。
会員がかかえる当事者の状況(多くの人は通院以外は行く場を持たない)から、訪問支援が必要だと行政等に要望をしていますが、家族会の会員自身も外出もままならず、定例会などに参加できない状況の方もいます。

「お茶飲み隊」とは、要望するばかりでなく、「家族会活動にも訪問支援を!」と、グループワークの研修(コンボの家族による家族学習会担当者研修)を受けた会員三人が、都合に応じ、二人ずつで「家族を訪問」し、小一時間ほどお茶飲み話をする取り組みです。

家族は、何の支援もなく長い時間、手探りで何とか家庭内の安定をはかっています。そのなかで家庭に届く支援があればどんなによいだろう、家族だけではかかえきれない、この膠着状態からどう脱してよいかわからないと悩んでいます。
しかし矛盾したことに、どうにか工夫してきたこの家庭内のバランスを崩すのが怖い、刺激があるとまたたいへんなことになるのでは…とも思っています。
この訪問をきっかけに、家庭のなかが少しでも動いて専門家による訪問支援につながればという思いもあり、「仲間としてできること」を実践しています。

これまでに、体調を崩されて外出がままならない家族、仕事の都合で定例会に出られない家族、心の傷が深すぎて大勢のなかでは話せない家族、会員ではないが非常に困っている家族…などを訪問してきました。
じっくりと話を聴いてもらうことで気持ちが軽くなった、当事者が強い拒否を見せなかったので専門家の訪問を利用し始めた、会の様子がわかり会員になりたい …など、それぞれの方が変化を見せています。
家族としてできる限界を確認しつつ、これからも依頼された家族を訪ねて「お話しを聴く」訪問活動を細く長く継続していきたいと思います。