眠剤を効果的に活用するための7つのオキテ


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眠剤を効果的に活用するための7つのオキテ

佐竹直子/国立精神・神経センター 国府台病院医師


 

「睡眠薬がぜんぜん効かないですよ」「もっと効く薬ありませんか?」
こんな相談を外来で患者さんから受けることがよくあります。

「薬が合わないのかな」と思いつつ使うときの状況を聞いてみると、「あ、その使い方じゃあ…」ということが意外と多いのです。
正しい使い方をすれば睡眠薬(以下=眠剤)はよく効く薬ですし、安全な薬でもあります。
今回は眠剤の使い方のコツについて7か条にまとめてみました。

オキテ1 眠剤は寝る一時間前にのみましょう

眠剤の効果がみられるのはだいたい服用後30~60分後です。
「早く効いてほしいから」と何時間も前にのんでしまっても、自分が眠りたい時間より薬の効くピークが早くきてしまってかえって眠れなくなってしまいます。

オキテ2 眠剤をのんだら横になりましょう

眠剤をのんだ後に起きて動いていると、せっかく効き目が出てきていても眠気が飛んでしまいます。
テレビを観たり、動いたりしないで、眠剤をのんだら横になりましょう。

オキテ3 適当な時間に使いましょう

自分本来の生活パターンを考え、いつも眠る時間に合わせて眠剤をのみましょう。
午後や夕方早くに眠剤を使っても、むしろ夜の睡眠を妨げる原因になることがあります。

オキテ4 処方されたのみ方を守りましょう

「眠剤が効かない」といって、一度にたくさんのんだり、次々と追加で眠剤をのむことは避けましょう。
ふらつきが出たり、次の日にひどく眠気が残ったり、寝ぼけたような状態になることもあります。
のんでから1~2時間が効果がよく出る時間なので、その時間までは効き目が出るのを待ってみましょう。
追加の眠剤については主治医と使い方をよく相談しましょう。

オキテ5 お酒と一緒にのむのはやめましょう

お酒と一緒にのむと、両方の効果を強めてしまい、ふらつきや記憶障害、ねぼけなどが出る場合があります。
またお酒を使うと寝つきはよいのですが、かえって眠りが浅くなり、睡眠の質を悪くします。
お酒は眠剤よりかなり依存性が高いため、眠剤代わりに使うと癖になりどんどん量も増えていってしまいます。

オキテ6 眠剤をのむ前のカフェインやニコチンの摂取を控えましょう

コーヒーやお茶に含まれるカフェインやタバコに含まれるニコチンは、脳にとっては刺激物で眠りを妨げる効果があります。
夕方以降のお茶やコーヒーは控えましょう。
カフェインはチョコレートやドリンク剤にも含まれています。
また眠る1~2時間前からは、タバコの摂取も控えたほうが眠剤の効きはよくなります。

オキテ7 無理してやめたり、急にやめたりしない

不眠が改善し、眠剤をやめるときには、徐々に減らしていくとスムーズにやめられます。
「癖になるといやだから」と無理してやめると、不安感が睡眠に悪影響を及ぼしたりします。
また、急にやめると反動で一時的に眠れなくなることがあります。

眠剤の効果的な使い方についてご説明いたしました。
今日からさっそく実践してみませんか?

 

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