仲間の持つチカラ仲間の会のよさ(本人)


こころの元気+ 2014年9月号特集より


特集4
仲間の持つチカラ仲間の会のよさ


何にも代えがたい存在
広島県 Fさん


私が自助グループに参加するようになった理由は、そこに私以外にも不安で悩んでいる人たちがいると知ったからです。
初参加のときは、心臓が破裂しそうなほどドキドキして、何度もやめようかと後ずさりしました。
しかし「世の中で自分だけが悩んでいるのではないことを実感したい」「似た悩みを持つ人たちに会ってみたい」との思いが勝り、参加できました。心の病を経験した人の本を買うときと似た感覚ですが、そこに間違いなく存在し、自らの体験を肉声で語る人たちがいるというのは何にも代えがたいものだと思います。

参加していてうれしいことの一つは、仲間がそれまでおそらく一度も話したことのない話を思い切って話してくれたときです。すごい覚悟で話してくれたのだろうなと感じ入ります。
そんな話を聞いた後は、自分も思ってもみなかったことを話すときがあるのです。まるで吸い出されるように。そして、それはたいてい大きな気づきです。後でふり返っても不思議な力だなと思います。

もう一つ大切だと思うことは、仲間は自分を映す鏡であるということです。自分のことは自分だけではなかなか見えないもの。一方、似た悩みを持つ仲間は自分をよく映してくれます。
自分もそうだなとか、以前はそうだったなとか、以前仲間が言っていたことはそういうことだったのかと後で気づくこともあります。
自分を客観視できるわけですし、それができないと、自分本位の狭い視野しか持てなくなると思います。何度も会に参加しているうちに自分だけでは得られなかった視野を獲得できてきたと実感しています。


よくなりたいと思えた
愛知県 小沢亜季さん


私は統合失調症になって10年になります。今までに2つの仲間の会に参加しました。
仲間がいることが、私にとっては病状を早く安定させるためにとても必要なことだったと思います。
病気の知識も困ったときの対処の仕方なども、最初は私も家族もまったくわかりませんでした。仲間から体験談を聞いたり、日常生活で工夫していることなど、いろいろ教えてもらいました。本やネットでもたくさんのことがわかりましたが、私は仲間からの話が一番心に響き、とても役に立ちました。

病状が安定しないときには仲間の会に参加することもままならないときもありました。
仲間がいてくれて、月に1度でも仲間と会って話ができることが、ひきこもりがちな私の唯一の外へ出る場所となり、仲間の会の日に参加できるように体調を整えるようになりました。

最初は自分から発言することなどできませんでしたが、徐々に話の輪の中に加わり、仲間とより深くいろいろな話をすることができるようになりました。
また、だんだん慣れてくるにつれて自分の役割を見つけようと思うようになり、仲間のために動くことができるようになりました。

私がやっていたのは、皆でお昼ご飯を食べるときに給湯室で全員分のお茶をいれてくることです。
仲間に「ありがとう」と言ってもらえることが、病気になって人の助けを借りることが多く、自分から何もできなかった私に「病気になっても誰かの役に立てるんだ」という気持ちを起こさせてくれました。
少しずついろいろな人と関わりを持てるようになり、病気でも社会に出たいと思うようになりました。
そして、今は自分が病気になって10年経ち、経験したいろいろなことを、同じ病気の人だけでなくいろいろな人に話したり、相談に乗ったりできるようになりました。
仲間がいたから自分も早くよくなりたいと思うことができ、自分よりも体調の悪い人と出会ったときには助けてあげたいと思うようになりました。
まだ社会生活を1人でおくることはできていませんが、気持ちは病気を発症したときに比べてずいぶん前向きになったと思います。

現在は引っ越したために仲間の会を辞めてしまいましたが、辞めるときに皆が色紙に言葉や絵をかいてくれました。病気になってからできた友達であり、仲間なのでとてもうれしかったです。

残念なことに、今いる地域では仲間の会がありません。
自分の病気のことを話せるのは病院の先生や看護師さんだけになってしまいました。同じ悩みを共有したり、助け合ったりできる仲間がいないのは残念なことです。

これからの私の目標は、自分から仲間の会を立ち上げてみたいということです。1人でも多くの同じ病気の人に仲間の力のすばらしさを知ってもらいたいし、私自身も仲間の力を借りていろいろなことに挑戦していきたいと思っているからです。

 


グループに属するという感覚
埼玉県 大野美波さん


人間には4つのタイプがいるといいます。
・自分も他人も否定する。
I am not OK. You are not OK.
・自分を肯定し相手を否定する。
I am OK. You are not OK.
・自分を否定し相手を肯定する。
I am not OK. You are OK.
・相手も自分も受け入れる。
I am OK. You are OK.

相手も自分も受け入れ、ポジティブに生きることができたら、それが一番いいのがもちろんのことです。それがしやすくなるのが、仲間の会だと私は思っています。
特にI am not OK.  You are OK.
(自分を否定し相手を肯定する)の人にはおススメしたいです。

他人はよく見えるといいますが、他人を受け入れることによって、自分も同じようなところがあるなと発見し、だんだん自分を受け入れられるようになります。
「いい仲間ができただけ、自分を好きになれる」。これはよい循環だと思います。私もいい仲間ができたので変なあせりがなくなりました。

それともう一つ、人は何者かにならなくてはいけない性質があると私は考えます。小さな頃なら小学生や中学生、大人になったら会社員、消防士、先生など、常に「自分は何か」といえるものがないと人間は不安になると思います。それは小さな頃から植えつけられたものだからです。
病気になると世間から孤立し、自分が何者なのかわからなくなってしまいます。そして人によっては「犯罪者」になって安心を得ようと思ってしまいます。まぁ「人によっては」ですし、これは本に書いてあったことではなく私の自論です。
そういうときに、自分はそのグループに属しているという感覚が必要なのです。発言できるかが重要ではないのです。そのグループの一員であることが大切なのです。私はそう思います。

デイケアのみんなにはいつも感謝しています。この文章でどなたかが、いい同志を見つけてくださったらうれしいです。