利用できる制度や施設について聞く2


精神科の診療所や精神病院に行くと、医師や看護師が地域で利用できる制度や施設について、教えてくれることがあります。その診療所や病院にソーシャルワーカーがいるか聞いてみましょう。
地域で使える制度や施設については、ソーシャルワーカーがよく知っている場合があります。
もしも、医師に聞いてもよくわからない時や、その診療所や病院にソーシャルワーカーがいない場合には、お住いの市区町村の役所に行ってみてもいいかもしれません。お住いの市区町村に問い合わせて、福祉課または、障害福祉課があれば、そこで自分の使える制度や施設について、リストアップしてくれる場合があります。
各県ごとに精神保健センターがあります。そこでも、自分の使える制度や施設については相談に乗ってくれる場合があります。
また、保健所や保健センターが地域にあれば、利用できる制度や施設について、聞くことができます。
診療所や病院の受付事務をしている人に、自分がどこに行けば、使える制度や施設を問い合わせたりできるか聞くのもいい手かもしれません。医療事務をしている人は、どこに行けば申し込みや問い合わせができるかだけ知っている場合があります。
詳しくお知りになりたい方は知って安心メンタルヘルス12の福祉サービスという本も、コンボから出版されていますので、そちらを参考になさってもいいでしょう

こころの元気+の特集からみてみましょう


特集10
役所の手続きで知っておくと便利なこと
行實志都子 神奈川県立保健福祉大学


私たちの生活をふり返ると、行政機関で手続きをする機会は数多く存在します。それには、自立支援医療、ホームヘルプサービス、または相談など、いろいろな場面があげられます。ここでは、行政機関で手続きするとき、今さらだけど 知っておくと便利なことをお伝えします。


申請主義って何?

日本の福祉制度は、すべて申請主義で行われています。
つまり「自分からこれがほしい」と言わないと何も始まらないという仕組みです。


申請するとすぐにサー ビスが開始するの?

申請してすぐにサービスを利用することはできません。
サービス内容にもよりますが、申請してからそのサービ スを利用することができるかなどの審査(調査)が必要となります。
利用開始までおおむね1か 月程度の時間が必要です(自 立支援医療などは、決定後申 請日にさかのぼって利用可能となります)。


有効期限の更新手続きっていつからできる?

有効期限ですが、これも申請主義のために役所からは更新手続きのお知らせは届きません。
有効期限の切れる3か月前から更新申請することができます。


不服申し立てって何?

申請したけれども、審査で出された結果に不服があった場合は、結果を知った日から60日以内ならば不服申し立てができます。


それぞれの窓口は?

手続きの申請窓口は、一般的に生活福祉サービスは福祉課、精神医療は保健所、または市保健センターとなります。市町村によって部署名が違いますので、確認してください


さまざまな制度・施策の相談窓口

(それぞれの制度や施策には細かい条件等がありますが、ここではおもなものについて、できるだけ簡単に説明しています)


くらしに関するもの

  • 手帳・手当に関すること  精神障害者保健福祉手帳 いわゆる「障害者手帳」のこと →  市町村の窓口へ
  • 障害基礎年金 20歳前に発病した人や国民年金を納め(免除手続きをし た)障害を負った人がもらう年金  →  市町村の窓口へ
  • 特別障害給付金 国民年金を払わなかったため障害年金がもらえない人への特別な給付金 →  市町村の窓口へ
  • 特別児童扶養手当 子ども(19歳まで)に障害がある場合の親への手当 →  市町村の窓口へ
  • 障害児福祉手当 子ども(19歳まで)に障害がある場合の子どもへの手当 →  市町村の窓口へ
  • 特別障害者手当 重度の障害がある人への手当 →  市町村の窓口へ
  • 心身障害者扶養共済 親が生存中に掛金を払っておき、親亡き後等に、障害のある子へ年金が払われるようにする制度  →  市町村の窓口へ
  • 地方自治体の福祉手当等 都道府県市区町村から払われる独自の手当やサービス。数も少なく、場所によって内容が違う → 市町村の窓口へ
  • 介護保険 介護が必要な65歳以上の高齢者と40歳以上の人(病気に よる)が受けられるサービス → 市町村の窓口へ 

障害者総合支援法に関すること

  • ホームヘルプ(居宅介護)   家に来て、日常生活を支援してくれるサービス → 市町村の窓口へ
  • 重度訪問介護  重度の肢体不自由、知的障害、精神障害があり、常に介護が必要 な人の家に来て、生活全体を支援する  → 市町村の窓口へ
  • ショートステイ(短期入所)   調子が悪くて家にいられらないとき、休むため施設に一時入ること → 市町村の窓口へ
  •   行動援護  行動にかなりの支援が必要な知的障害や精神障害のある人に対して、行動時の危険を回避するための援護や外出時における介護、食事等の援助をする → 市町村の窓口へ
  • 施設入所支援  施設に入所する障害者に対して、主に夜間などの入浴、排せつ、食事等の介護、相談及び助言、その他の日常生活支援を行う → 市町村の窓口へ
  • グループホーム(ケアホーム)    障害のある人が支援を受けながら数人で暮らす場所 → 市町村の窓口へ
  • 就労移行支援  働けるように、訓練や相談、職探しから定着まで支援する制度 → 市町村の窓口へ
  • 就労継続支援A型  企業での仕事がむずかしい人が、雇用契約を結んで働く場 → 市町村の窓口へ
  • 就労継続支援B型  企業での仕事がむずかしい人が、訓練やリハビリを目的に働く場 → 市町村の窓口へ 

お金に関すること

  • 障害厚生(共済)年金  初めての診療時にサラリーマン(公務員)で、病気やケガで障害を負った人がもらう年金 → 社会保険事務所(共済組合)へ
  • 健康保険の傷病手当  仕事以外の理由で病気やケガを負い、仕事ができないときにもらえる手当 → 社会保険事務所(共済組合)へ
  • 生活保護  生活に困窮する方に、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助ける制度 → 市町村の窓口(福祉事務所)へ
  • 日常生活自立支援事業  認知症、知的障害、精神障害のある人に対して、日常生活への助言や通帳の管理や日常的な金銭管理などの支援を行う → 社会福祉協議会へ
  • 市県民税  住民税ともいわれ、住んでいる地域のサービスを受けるために払う税金 → 市町村の窓口 (市民税)
  • 税の控除・免除  自動車税、所得税などの税制面での控除、免除 → 税務署へ 

医療に関するもの

  • 自立支援医療(精神通院)  精神障害の通院治療に対して、原則1割負担のみで治療をうけることができる制度 → 市町村の窓口へ
  • 高齢医療に関する助成  70〜74歳までの前期高齢者、75歳以上の後期高齢者の医 療費の負担を助ける制度 → 市町村の窓口へ 
  • 高額療養費  手術や入院などで医療費が高額になったとき、払う金額を減らしてもらえる制度 → 市町村の窓口(国民 健康保険)/健康保 険組合・共済組合(社会保険)へ
  • 無料低額診療制度  低所得者等に医療を無料、または低額な料金で診察する制度 → 指定の医療機関(全日本民医連参照)へ

就労に関するもの

  • 雇用保険 ある期間勤めた会社を退職した後、一定期間もらえる保険 → ハローワークへ
  • 労働者災害補償保険  仕事中等にケガや障害を負ったときにもらえる保険 → 労働基準監督署へ
  • 社会適応訓練事業  一定期間事業所に通い、仕事の持久力及び環境適応能力等を養う事業(実施は地域による) → 保健所へ
  • 地域障害者職業センター  障害者に対して、専門的に就労支援、助言・援助を実施するセンター
  • 高齢者・障害者雇用支援センター  高齢者・障害者の雇用の相談、援助、給付金、助成金の申請、啓発等を実施するセンター
  • 障害者就業・生活支援センター  障害者の就労面と生活面の両方から支援をするセンター

こころの元気+88号特集より