特集2 がんばっていると感じない


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ものすごくがんばったり、必死にいろいろなことをやっていたのに、「自分はがんばれていない」「他の人のほうががんばっている」と感じてしまうという体験談です。


病気に甘えない! 認めてほしい!
(神奈川県)ホンネさん

かつて職場で、
「あなたは、がんばり屋でまじめだから」と目上の方に言われたことがあり、とても驚いたことを覚えています。

●満たされない日々
当時は役員秘書として、上司のスケジュール管理、海外の要人との各種調整・出張準備等に忙しく駆け回っていましたが、他の秘書の方の活躍と比べては落ちこんだり、これでは全然努力が足りないと日々感じていました。
たとえ上司にほめられても満たされることはありませんでした。

●今、思うと
その職に就くときはあらかじめ上司にうつ病の経験があることも伝えてありましたが、「病気に甘えてはいけない」という気持ちもあったのかもしれません。
また、何より自分を苦しめたのは、「上司に認めてほしい」という承認欲求だったのではないかと、今になって感じています。
もともときびしかった父に認められるように、勉強等をがんばってきた過去があり、
「力がある人から、認められたい」
「見捨てられたくない」という感情が、いたるところで強く働きがちなのでは、と分析しています。
気づいたこれからは、自分の力をまず自分が一番に信じて、自分に合った働き方を模索していきたいです。


子育て
(埼玉県)ちびすけさん

がんばっている実感がないのは、まさしく今の子育てです。
私の実家が近いこともあり、毎日母が来て家事育児を手伝ってくれて、夫が夜勤のときは泊まってくれることもあります。
他のママは1人で家事育児をしているのかと思うと、自分は甘えてるのではないかと思ってしまいます。
母は「孫の面倒を見ることで元気になるから」と言ってくれています。

他の人と比べることはない、子育ては1人でするものではない、とはわかっています。
でも母から自立できない自分は、母親になった実感が持てないと共に、がんばっている気がしません。
もちろん病気をもっていることで娘につらい悲しい思いはさせたくないし、そのためにはまわりの協力が必要です。
何が正しいかがはっきりとしない子育てだからこそ、自分が、がんばれてるのかどうかがわかりません。
「よくやっているね」と言われても実感がわきません。
がんばる自分をほめられる日が来たらいいなと思っています。


比較と見栄
(千葉県)ミルクティさん

寛解時(調子が安定している時期)、北陸地方の祖父母の介護に年5、6回行き、会社から帰宅した父の話を5時間聞き、うつ状態の母の代わりに家事をこなし、話を聞き、ハンドクリームを塗ってあげたり、メイクやネイルをしてあげて、散歩や買い物につきそい、自身の資格取得の勉強をしていました。
両親に恩返しをしたい一心だったのと、2人の兄達は働いているけど、私は扶養されているのだからと、がんばり続けていました。

それでもがんばれていないと感じていたのは、新聞に取り上げられている人やテレビのアスリートの人達と比較していたからです。
そして、主治医やまわりに相談したら崩れ落ちてしまう、という妙な見栄があったのでしょう。

その後再発し、たいへんな日々をおくりました。
失ったものも大きかったですが、失うことで楽になり、また得るものも多かったです。これこそ発病し、気づいたことと同じだったのです。
成長もできましたが後悔もしました。

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