障害者手帳について(QA)


「こころの元気+」2018年5月号(135号)の「おこまりですか?」のコーナーより
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Q 障害者手帳について(精神障害者手帳をとってよかったこと、悪かったこと)

33歳男性です。
中学時代にいじめがきっかけでうつ病になり、21歳のときに発達障害と診断されました。
20代はとても具合が悪かったのですが、30代になってから少しずつよくなり、今は診察と作業療法に通いながら社会復帰を考えています。
今年、生活も落ち着いてきたので家族と相談のうえ精神障害者保健福祉手帳を取得しようと決めました。主治医は「いつでも書類は書きますよ」と言ってくれていて、書類ももらってきたので体調を見て書こうと考えています。
そこで皆様にお聞きしたいのは、
「精神障害者手帳をとってよかったこと、悪かったこと」です。
実際に取得し、仕事や生活で利用した方でないとわからないことが多いと思うのです。
個人的には先のことが心配なので、よかったことをメインに教えてもらうと安心できてうれしいです。小さなことでもかまいません。
落ち着いてきて気持ちが地に足がついてくると、使える制度や支援を使って生活を立て直していって、少しずつ自分で満足できるよい人生を創っていきたいと思うようになりました。
その最初の一歩の手がかりにしたいと思います。


A その時々に応じて  (三重県)withkさん

私が感じた手帳のよかったところは、バスの料金が半額になったり、美術館や博物館など公共の所は無料であったり、映画館や水族館、テーマパークなどでも割引がある所もあります。
また携帯電話も(会社によって異なるとは思いますが)、割引があります。
なお、この先就労なども考えているのであれば、障害者雇用で勤める場合にも役に立つことを支援者の方から聞きました。
悪かったこととしては、他の障害者手帳(身体、療育)とは異なり、写真の有無が選択できることです(都道府県や市による)。
私は今の手帳には写真をはっていますが、以前、はっていなかったときに割引を使えないことがたまにあり、不便さを感じました。
また、自分の中で障害者手帳を持っていることで周囲からの偏見などを気にしてしまうことがあります。
しかし精神の障害者手帳は、他の障害者手帳と違い、2年ごとに更新があり、更新しないとか,自分から返納し、手放すこともできます。
その時々に応じて、自分の生活が満足できるように活用していくのがいいかと思います。
実際、私もそうしています。


A まわりは意識していない  (大阪府)双極次郎さん

37歳の双極性障害の当事者です。
私は30代になってからうつ病を患い、2回休職をして、そのときに障害者手帳を取得しました。
正直、障害者手帳を取得するということは、恥の気持ちもあって戸惑いもありました。
手帳をとって感じたのは「そんなにまわりは意識していない」ということです。実際に提示する場面というのはあまりありません。
しかし、メリットとして、駐車場など公共施設の利用料の減免や、ひきこもったときに図書館からの郵送で本を借りたりできること(図書館による)は、私にとっては生活を維持するのに助けられています。
「手帳を持って優遇を受けている」と思うと申し訳ないなという気持ちにもなりますが、「生きづらさ」に対する社会的配慮だと思って、今はありがたく利用させていただいております。
また、社会復帰の準備をしているとのことなので、手帳を持つことで障害者枠での就職も視野に入ると思います。
所得税の控除や相続の際の控除額の加算もあります。ご自身の居場所を固めるうえでもメリットはあると思います。
一方、ずっと精神の手帳を持ち続けるなら、2年に一度は更新の手続きをしなければなりません。そのつど役所に行って手続きをするのは、精神障害がある者にとっては負担にはなります。
ご自身にとって、よりよい人生を歩まれるための一つの手段として取得されることをお勧めします。


A 一番は税金の軽減  (千葉県)希望の統合失調症さん

新しい一歩に手帳が役立つとよいですね。
手帳のメリットから。
まず一番大きいのが、障害者控除による税負担の軽減でしょうか。
以前勤めていた会社はクローズでしたので確定申告で税負担の軽減をはかりましたが、現在はオープンで働いているので年末調整で行われる予定です。
あとは映画が千円で見られるということです。また、私は千葉に住んでいるのですが、京成バスは料金が半額になります。
私はカメラが趣味なので、ニコンという会社のニッコールクラブというクラブに障がい者正会員という形で加入しています。
ほかにも民間企業で手帳取得者に対するサービスを提供しているところがあるかもしれません。
デメリットは「税金で生きていきやがって」みたいな悪口を言われることでしょうか。
以来、手帳を持っていると積極的に言うことはなくなりました。
障害をもつ人でも、手帳は持っている人と持っていない人がいるので言わないようにしています。
支援を使っていきたいということなら、障害年金の申請も考えてみてはどうでしょうか。
ただ、申請の難易度は年金のほうがむずかしいです。
支援してくれる社会保険労務士もいるので、一度相談されてはいかがでしょう。


A 自治体の資料で確認を  (東京都)みかんさん

私は39歳男性、当事者です。
22歳の発病から1年経ったときに手帳を取得しました。
手帳を取得して、初めて受けた恩恵が、病院のデイケア料金上限2万円までの返納制度でした。
これは私が当時住んでいた市独自の福祉制度でした。手帳で受けられる福祉サービスは各自治体によって異なるため、一度、住んでいる自治体の「障害者福祉のしおり」などを確認することをお勧めします。
現在、私は障害者就労移行支援施設に通所をしています。
手帳と本人の所得の関係で月18万円以上の利用料が無料になっています。こ
れは障害者福祉サービスの一つで厳密には審査が通れば手帳を持たなくても利用可能です。
しかし、障害者枠求人を考えるなら、手帳を持っていると、法律上障害者法定雇用率に換算されるため、採用の際、実質的に有利になります。
私のまわりでも、障害者枠求人に応募するために手帳の取得に踏み切る方がとても多いです。
ほかには手帳の提示で公共の施設や交通機関が無料や割引になることがあります。私は美術館をよく無料で楽しんでいます。
障害者手帳を取得して悪かったことは、私の場合特にありません。
バスに乗るとき手帳を毎回車掌に提示しなくてはならないので面倒というくらいです。
質問者の方が満足できるよい人生を創っていけることを切に願っています。


A デイケアでの意見  (大阪府)シュークリームさん

今回、デイケアで手帳について意見を出し合いました。
すでに手帳を持っている人が多かったですが、中には申請を迷っているという人もいました。
手帳を持っている人達からの共通の意見は、「いいことが多いので、よかったら、ぜひとってください」ということでした。
私達は大阪なので質問者の方の住まいとは違うかもしれませんが、さまざまな施設の入場料の減免があったり、市営の駐輪場の割引、市営交通の割引制度などがあったり、出かけるときに助かっています。
その他にも、税金の控除や携帯電話の割引などの制度もあります。
映画館の割引のおかげで多くの映画が観られたこと、出かけるきっかけになったなど、取得してよかったという話も出ました。
また、顔写真があることで身分証にもなってよい面と、見せるとき後ろの人に見られてしまうのではないかと不安に思う面もあると意見が出ました。
取得への抵抗感も初めはあったけれど、今は慣れて抵抗感はないという意見も出ました。
サービス全体で考えると、悪いことはそんなにないというのが私達の答えです。
手帳を取得することは権利だと思います。手帳を取得することで、質問者の方の「よい人生を創っていきたい」思いの助けになるなら、ぜひ申請してみてください。
取得後、手帳が必要ないと思われたら、手帳を返還すればいいのですから。


※「精神障害者保健福祉手帳」で受けられるサービスの例(引用:厚生労働省HPより

全国一律に行われているサービス

  • 公共料金等の割引
  • NHK受信料の減免
  • 税金の控除・減免
  • 所得税、住民税の控除
  • 相続税の控除
  • 自動車税・自動車取得税の軽減(手帳1級の方)
  • その他
  • 生活福祉資金の貸付
  • 手帳所持者を事業者が雇用した際の、障害者雇用率へのカウント
  • 障害者職場適応訓練の実施

自立支援医療(精神通院医療)による医療費助成や、障害者自立支援法による障害福祉サービスは、精神障害者であれば手帳の有無にかかわらず受けられます。

地域・事業者によって行われていることがあるサービス

  • 公共料金等の割引
  • 鉄道、バス、タクシー等の運賃割引
    ※なお、JRや航空各社は現時点では対象になっていません。
  • 携帯電話料金の割引
  • 上下水道料金の割引
  • 心身障害者医療費助成
  • 公共施設の入場料等の割引
  • 手当の支給など
  • 福祉手当
  • 通所交通費の助成
  • 軽自動車税の減免
  • その他
  • 公営住宅の優先入居

(引用:厚生労働省HPより