病気のことを伝える、伝えないで迷っています


Q 私は、不安障害と診断されて5年経つ40代女性です。
 病気のことを周囲に伝えるのか、伝えないのか迷っています。
 両親と親友一人には伝えていますが、他の知人・友人・職場には病気のことを伝えていません。病気と知られて奇異な目で見られ、ウワサされるのが怖いのです。
 自分が病気に対して、恥ずかしい、弱い人間だと思っているせいもあるかもしれません。薬で不安や恐怖をおさえられているから「私は病気じゃない」と思いたいのかもしれません。
 健康診断や心療内科の先生以外には、伝えるべき先生にも伝えていません。
 病気のことをオープンにして周囲の目も気にせずすっきり過ごすか、伝えずに偏見から逃れて過ごすか。
 主治医からは「オープンにするのは自由だけど人の口に戸は立てられないよ」と言われました。あれこれ迷って早5年…。
 不安障害の方(そうでなくても)は、周囲の方々とどのように関わっているのでしょうか。周囲の人に伝えている方は、どんな影響があったのでしょうか。どれくらいの範囲の人に伝えているのでしょうか。伝えていない方は、私のようにいろいろと迷っているのでしょうか。
 皆さんの意見や体験を知りたいです。

A メリットとデメリットを考えて/ピクチャ~さん(鳥取県)

 統合失調症と診断され7年目の女性です。私は働いてはいませんが,薬と通院でわりあい心の安定は保てていると思っています。
 私が病気で不安定になったときは、母に言います。あとはもちろん主治医やカウンセラーの先生にも。
 母以外の一般の人には、そうした話はほぼしません。きょうだいに対しても病気についての話はしません。理由は、それぞれにたいへんな中で暮らしているのに、グチみたいなことを言って、うざがられたくないからです。
 病気について知っているのは、家族と親戚のみです。母が知り合いの信頼のおける人に相談しているのは知っていますが、それについては母に任せています。
 世間の人々が、みんないい人なら何だって言っていいかもしれません。でも残念だけど、そうじゃないです。生きてきて、いやな人にもたくさん会ってきました。もちろんいい人だっていますが。
 だから、その必要性がない限り、病気について周囲に言う必要はないと思います。
 質問者さんには、両親と親友と心療内科の先生もいます。その人たちに伝えているのだからだいじょうぶです。
 ただ、「伝えるべき先生」と考える先生がいるのなら、よく考えて伝えるのもいいかもしれません。
 その場合も「本当に伝える必要性があるのか?」とメリットとデメリットを列挙したうえで決めるといいのではないでしょうか。

A 自分をよく知ること/榎田伸也さん(奈良県)

 私は統合失調症をかかえる40歳の男性です。あなたの苦悩、私にもよくわかります。私も発症して数年は、「クローズ」にしていました。
 たしかにあなたの言われるように、「奇異な目で見られたり、ウワサされるのではないか」と気が気でないのもよくわかります。
 そういう目で見る人には病気への正確な知識がないのだと思います。そしてまた、あなた自身の中にも、もしかしたら自分自身の病気への偏見があるのかも知れません(「内なる偏見」といいます)。
 実際、私にも過去「内なる偏見」が強くあり、かなり苦しみました。しかし、病気について真剣に勉強しました。
 それからは、他の内臓疾患と同じようなとらえ方ができるようになりました。
 ですからまず、あなた自身が自分の病気について正確な知識を得る。それをするかしないかで、病気へのとらえ方がずいぶん変わると思うのです。
 そして、あなたを奇異な目で見る人といくらつきあっても、何のメリットもないと私は思います。言いたい人には、いくらでも言わせておけばいいのです。むしろ、「よく勇気を出して病気を打ち明けてくれた」という人の数をどんどん増やしていけばいいのです。
 まず、「自分をよく知る」ことから、道は少しずつ開けていくと私は信じています。
 悩んでいるのは、あなただけじゃないですよ。

A 気づかれていました/福田一夫さん(栃木県)

 私も、長らく病気のことは誰にも打ち明けられませんでした。特別な目で見られるのもいやでしたし、友達や職場の人が知ったら人間関係がどうなってしまうか不安でした。その反面、病気のことを素直に打ち明けられたら(そして受け入れられたら)どんなに楽だろうなと思い続けていました。
 そんな自分が病気のことを公にできたのは、病気が再発してからのことです。
 休職を余儀なくされ、職場のみんなの見聞きするところに至り、友達にも伝わり、そのことがきっかけで素直に人前で病気を語れるようになったのです。
 初めて聞く人は「かずちゃんの事情というモノがあったんだね」とうなずきました。障がいを隠したまま働くには、それなりの苦労があったのです。
 しかし、人間関係は悪くなるどころか、むしろ包み隠さず語り合える仲間ができて充実しました。
 大学からの友人には、自分の心配をよそに、「以前から気づいていた」と告げられました。「みんなお前のことが好きなんだよ」と受け入れてくれました。ご機嫌な仲間たちです。
 私のケースは、すべてにあてはまるものではないことはわかっております。障がいを隠すことの生きづらさと、そのことで保たれている生きよさ、その逆も当然あるわけで、どちらがよいのかは人それぞれで、何が正しいのかわかりません。
 ただ、当事者が恐れるほど、世間は冷たくもなく温かくもなく、障害を打ち明けることで、失うものと得られるものがあることを認識しておくといいでしょう。

A 答えは1つではない/ハイジさん(東京都)

 私も不安障害の53歳の女性です。私も、ほとんどの人が私の病気を知りません。
 心療内科の先生や医療関係者には話していますが、友人や知人は知りません。そして、親友だけに話しています。
 言うのはとても勇気が必要で、今まで言えないで過ごしてきました。
 私は、何か1つ悩み出すとそのことが頭から離れなくなったり、急な変更がとても苦手だったりするので、生活に支障をきたすこともよくあります。
 しかし、不安のないときの私は、一見とても明るくて元気に見えるので、「私は病気ではないですよ」と自然にふるまっています。
 しかし、「それがかえってよいのかな?」と思うときもあります。その理由としては、病気になる前の自分と同じように接してくれるので、自分なりに自然体でありたいとがんばれるのです。
 しかし、私を不安障害だと知っている人には、甘えが出てしまったり、もっと私を理解してほしいと泣きながら訴えてしまうこともあるのです。決してわざとではないのですが、気づくと「病気なのだから仕方ないでしょう」というのが態度に出てしまうのです。
 ですから、病気をオープンにするのがいいとか、話さないままがいいとかの答えは1つではないと思います。
 現在、通院を続けていて、親友だけが知っていて、知人・友人・職場が知らなくても過ごせているのなら、このままでよいのではないかと私は思います。
 話したいと思う人にだけ話すと、自分も楽になれると思います。無理してまでも話すのはかえってつらくなるのではないでしょうか。

A 思っているより多いです/祥鳳さん(神奈川県)

25歳の統合失調症などを患う者です。
 精神病って、他の病気と比べてやっぱり偏見を持たれがちですよね。私も、恋人に精神病を患っている話をしたら、恋人の親から、「精神病患者なんて狂っているから今すぐ別れなさい」といわれてすごくショックでした。
 でも、9年間病気と闘ってきて、そのような場面に出会ったことはほとんどありません。
 精神病といっても、重度なものからすぐに治るものまでさまざまですが、自分が思っているよりもけっこうな数の人々が同じ境遇に一回はあっているようです。
 たしかに、闘病期間は違うかもしれないけど、同じように「もう生きていけない、死んでしまおう」と追いこまれた人はかなり多く、私はなんとなく普通の会話にさらっと交えてカミングアウトしていますが、みんな、
「ああ、俺も数年前、精神病で閉じこもってたよ。ああいうときって『お前以外もつらいんだよ』なんていわれてもだめなんだよね。世界で一番自分が不幸だって感じちゃう」って言っています。
 逆に、苦しいのを隠している姿は、実はまわりはもうわかっている、見通しているともいえます。
 病気のことを全部話す必要はないし、さらっと「私、ちょっと精神的に追いこまれててつらいときがある」なんて言ってみたらどうでしょうか。
「神様は底なしの心を持ってるかもよ」
友人から言われた一言です。

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