【クロルプロマジン換算値(CP換算値)とは?】
クロルプロマジン換算値(CP換算値)とは、クロルプロマジン100mgと抗精神病効果が等しくなる各薬剤の用量のことです。クロルプロマジンが最初の抗精神病薬であったので、抗精神病薬の量はクロルプロマジンを基準に比較されます。
この換算値をもとに計算をすると、クロルプロマジン以外の抗精神病薬が、クロルプロマジン100mgと同じくらいの効力を発揮するのに必要な量を算出することができます。
そこでCP換算値は、次の式で求められます。
CP換算値=薬の処方量÷等価用量×100
例えば、リスペリドン4mgのCP換算値は、4÷1×100=400mgとなります。
ハロペリドール12mgなら、12÷2×100=600mgとなります。
リスペリドン4mgにハロペリドール12mgとクロルプロマジン200mgが処方されていたら、CP換算値は400mg+600mg+200mg=1200mgとなります。
このようにCP換算値は異なる抗精神病薬の力価や多剤併用時の力価を示すのに便利です。
【至適用量とは?】
一般的に、CP換算値が1000mg以上であれば大量投与と考えられています。
最近の脳科学のデータでは、ドパミンを60~80%遮断する量が抗精神病薬の至適用量と考えられています。ドパミンを60~80%遮断するのに必要な抗精神病薬のCP換算値はおよそ300mg~600mgと推測されています。これは皆さんが思っておられるより少ない量ではないでしょうか。
また初発の統合失調症の場合は、この量よりさらに少なくCP換算値として200mg程度で十分だと考えられています。
もちろん再発で精神運動興奮が著しい時に、一時的にCP換算値で1000mg程度必要な時もありますが、それが長く続くことはありません。たとえ再発再燃時に一時的に至適用量を越えて使用しても、慢性期には至適用量に減薬することが大切です。
また最近のPETを用いた研究では、年齢が高くなると(50歳以上)、抗精神病薬への感受性が高くなり、ドパミンの遮断率が60~80%の至適用量の範囲でも錐体外路症状などの副作用が現れることが分かってきました。年齢も考慮して抗精神病薬の投与量を検討しなければなりません。
ただしCP換算値は抗精神病薬の力価を示す万能の数値ではありません。同じCP換算値でも薬の併用の仕方では、抗精神病薬の血中濃度が上昇し、効果が強く現れることがあります。抗精神病薬は大多数が肝臓のチトクロームP450(CYP)で代謝されます。
リスペリドンなら主にCYP2D6で代謝されます。CYP2D6を阻害するパロキセチンを併用するとリスペリドンの血中濃度が上昇しやすくなります。オランザピンなら主にCYP1A2で代謝されます。CYP1A2を阻害するフルボキサミンが併用されるとオランザピンの血中濃度が高くなる可能性があります。薬物相互作用はCP換算値に反映されないので、CP換算値が1000mg以下だと安心していても、薬の併用のパターンでは血中濃度が上昇する可能性があるので薬物の併用には注意が必要です。
解説:長嶺敬彦(吉南病院内科部長)